「GIP」



先日、京都大学のグループによる小腸から分泌される
GIP(gastric inhibitory polypeptide)を欠落させた
マウスは肥満しないという論文が新聞報道でなされたご報告を
しましたが、Nature Of Medicine 7月号に掲載されました。

脂肪吸収を促進するホルモン

脂質の多い食事をすると腸管からGIPが放出されることに注目し、
肥満治療に役立つ可能性があるかも知れないということでこの研究が
行われたようです。GIP受容体欠落マウスは糖尿病の原因となる
インスリン抵抗性の問題もなくなるようです。

Gip Is New Obesity Target Nature Medicine:July 2002

2年前になりますが、これに関連がある物質にGLP−2
(glucagon-like-peptide-2 =グルカゴン様ペプタイド2)という
物質が視床下部に働き体重を長期的にコントロールすることが
報告されています、GLP−1は逆に働きます。
これはGIPと密接な関係があると述べられています。(下記)

The proglucagon-derived peptide, glucagon-like peptide-2, is a
neurotransmitter involved in the regulation of food intake
Mads Tang-Christensen July 2000 Volume 6 Number 7 pp 802 - 807

肥満の遺伝子研究は日進月歩です、近い将来こうした研究によって
肥満の遺伝子治療が行われる日も近いかもしれません。

同じネイチャーの7月号に大阪大学のグループによる adiponectin/ACRP30
欠落マウスがダイエットによりインスリン抵抗性を引き起こす旨の
論文も発表されています。アディポネクチンもレプチンと同様
肥満に深くかかわっていますので、いずれご紹介したいと思います。

このように、肥満やダイエットをインスリンやグルカゴンだけで
解説する時代ではなくなって来ています。